前回に書いたアミロイドで一番有名なのが、アルツハイマー病(AD)です。
ADの原因は、今のところ確定していないのですが、有力な説として、アミロイド・カスケード仮説というものがあります。
アミロイド・カスケード仮説とは?
ADは10年以上の長い緩徐進行性の経過で認知機能の障害や様々な周辺症状を示し、最終的には摂食困難による栄養障害や感染症などの合併症によって致死的経過をとる。これらの症状を臨床的に認める一方で、脳内では発症に先行すること10年ないしは15年前に、老人斑を構成するアミロイドβ蛋白質(Aβ)やタウ蛋白質の脳内蓄積やシナプスの機能・形態異常や神経細胞脱落といった病理的変化が生じている。
ADの病態生理に関しては、アミロイドと呼ばれる重合したAβの沈着が客観的に捉えられる最も早期の脳内病変であること、またAβの前駆物質(AAP)をコードするAAP遺伝子の変異が家族性ADの原因として認められることなどから、アミロイドの蓄積がAD発症の最上流にあって、全てのADの病理学的事象を誘導するとの考え方。
しかし、この説は今とても厳しい状況にあります。多くの製薬会社が、Aβに対する薬の開発競争をしましたが、Aβほ減らすことには成功したが、症状は良くならず、悪化する例もあり、ほとんど撤退してしまいました。タウ蛋白についても良い結果は得られなかった。
そこで、10年ほど前から面白い仮説を掲げている先生がいて、佐賀女子短期大学の名誉教授長谷川亨先生です。
アルツハイマー病の原因物質はホモシステイン酸であるという説です。
ホモシステイン酸はアミノ酸の一種で、活性酸素を作り出す物質です。そしてストレスと密接に関係していて、ACTHが増えるとホモシステイン酸も増えるという相関関係がある。ホモシステイン酸の増加が長期化すると脳神経細胞が変性する。
血中のホモシステイン酸を還元して無毒化することが良いと言っています。
一番、興味を引いたのが、尿中のホモシステイン酸の濃度が高いほど(腎機能が良好である)認知機能が改善しています。血中のホモシステイン酸濃度が高ければ高いほど認知機能が低下していますというところです。
ホモシステイン酸を尿中に排泄できるということです。
この先生は、最初は緑茶の効果からこの仮説に行きついたので、カフェインの利尿効果なのではないかと思います。
腎機能の維持向上に何か寄与できれば、アルツハイマー病の方の助けになれるかも?
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