この本は結構読みやすく、ウイルスについて広く書かれていてよい。古いですけどね。
よく問題にされるウイルスは生物か無生物かの問題についても書かれています。
著者は生物だと言っていますが、どっちでもいいんじゃないかなと、私は思います。所詮、生物か無生物かって、そのカテゴリーを作ったのは人間ですからね。自然に人間の作ったカテゴリーはあてはまりません。そう言ってしまうと面白くないか。
ウイルスは、DNAかRNAしか持っていません。いわゆる情報だけの存在で、自分で自分を増やすことができないのです。
もう一つ、興味を引いたのが、ウイルスに対して人間は抗体を作りますが、みんなが抗体を持ってしまうと、ウイルスは増えることができなくなってしまいます。そこでウイルスには戦略があって、インフルエンザなどのRNAウイルスは変異しやすいんです。DNAは2本鎖になっているので、翻訳ミスが起こりにくいのですが、RNAは翻訳ミスが起こりやすい、翻訳ミスはほとんどがただのミスで終わり、増殖できない結果になりますが、山ほどミスをしていると、たまたまウイルスに対して好都合なミスが出てくるわけです。
変異種類には2種類あって、まず一つはドリフト、抗体はウイルス蛋白のアミノ酸の並び方を認識しているのですが、ウイルスがこのアミノ酸の一つを変えてしまう。変えてしまうと言っても偶然ですけどね。
もう一つは、シフトというものです。例えばA型インフルエンザウイルスは8本のRNAを持っています。そして違うタイプのインフルエンザウイルスが豚や水鳥と言った宿主の腸内で出会うと、RNAが混ざり合って、新しい8本の組み合わせを持ったウイルスができることがある。これは大きな変異で、いわゆる新型インフルエンザとかということになります。
今話題のコロナウイルスもRNAウイルスなんですね。当然、なくなることはないでしょう。変異しながら生き残ります。ウイルスに負けない体づくりをしましょう!
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