ポロヴェ―ガル理論とは①
- itami-osteopathy
- 6月4日
- 読了時間: 3分
一般的には、自律神経には2種類あり、闘争・逃走反応に関連する交感神経系と、「健康」、「成長」、「回復」に関連し、脳神経の1つである迷走神経を主とする副交感神経系であるとされる。
このような自律神経の定義づけの中で、交感神経と副交感神経が拮抗していることが暗示される。一組の対立する神経系があるという自律神経の定義は、時には役立つことがあるが正確ではない。
「自律神経バランス」というものが、しばしば使用されるが、自律神経系は必ずしも「バランス」を取り合ってはおらず、環境内に困難が生じた場合には、段階的に作用する。
ポリヴェ―ガル理論では、防御システムは2種類あり、前述の交感神経の活性化と副腎システムの反応を伴って起こる闘争・逃走システムに加え、不動化、シャットダウン、失神、解離に関連する副交感神経(脳幹の迷走神経背側運動核から起始する無髄の迷走神経)によるものである。
後者の防衛システムは、ネズミのような小型のげっ歯類が命を脅かされた時にしばしばみられる。猫に捕まえられた時、不動状態になり死んだように見える。これは意図的な行動ではなく、爬虫類が使う防御システムである、古い神経回路が発動したのである。この反応は、「血管迷走神経失神」と呼ばれていて、通常の心臓血管機能に、迷走神経が強力かつ破壊的な影響を与えたために起こると考えられている。
自律神経系の系統発生を反映して3つの段階的要素に分けることができる。
1つ目が最古の迷走神経系で、脳幹の迷走神経背側運動核から起始する無髄の迷走神経により仲介され、この神経系が哺乳類において防衛システムとして発動した場合、呼吸が抑制され、心拍数が下がり、反射的な排便が促されるが、安全な環境においては横隔膜下器官の「健康」、「成長」、「回復」を促進している。
2つ目が交感神経系で、これが防衛機構として発動した場合、機能的に古い迷走神経を抑制し、消化を止め、内臓の働きのために使われていたエネルギー資源を可動化(闘争・逃走)のために転換する。
3つ目は系統発生的に最も新しい自律神経系で、有髄の迷走神経運動経路であり、迷走神経のこの要素は哺乳類特有で、顔と頭の筋肉制御を行うところと同じ脳幹構造から起始している。このため、人が微笑み、幸せを感じ、声が母親の子守歌のような抑揚に富んだ韻律を帯びる時には、会話によるコミュニケーションに集中し、人の話を聞き、内容を理解することができ、有髄の迷走神経は、私たちを落ち着かせ、心臓血管および代謝の要求を効率よく処理し、交感神経系に関連する覚醒状態を積極的に抑制する機能を持っている。
Comentários