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注目されるリンパ管の機能

眼の毛様体から産生される房水はシュレム管という管から排出されて、眼圧の調節を受けるが、このシュレム管がリンパ管と似た性質を持つことが報告された。シュレム管の機能不全は老化と共に構造的に脆弱になるため、房水の排出機能の低下により眼圧が高くなって、視神経障害(緑内障)が発生し失明リスクが上がる。タンパク質のミスフォールディング・凝集やアミロイドβの蓄積が脳神経疾患の原因となっているが、これらの排除・除去にglymphatics(脈管を介さないグリア依存性の排出路)や硬膜リンパ管が重要な役割を果たしていることが示されている。これらの疾患で発生する神経炎症によりリンパ管の透過性が亢進すると(リンパ管の機能低下)、さらに凝集や蓄積が亢進しこれらの病態が悪性化する。

以上から、アルツハイマー病や脳血管障害に関与していることが示唆されており、緑内障と並んで患者が多い難治疾患であるため大きく注目されている。


心臓のリンパ管は心収縮で生まれる余剰の体液を除去する役割がある。リンパ管機能が低下すると、心筋浮腫を引き起こして心機能が低下する。心筋梗塞や心肥大ではリンパ管の機能を高めると、心筋浮腫や炎症が改善され線維化(線維芽細胞が増えて組織が硬化し機能不全になる)などが抑制される。動脈硬化巣におけるリンパ管が機能低下すると、脂質(アポリポタンパク質)の排出や代謝がうまく行かずに動脈硬化が悪性化する。糖尿病患者では炎症や内皮傷害により、脈管の漏出性が高くリモデリングが誘導されやすい。


リンパ管で漏出性が高くなると、末梢組織に脂肪がたまりやすくなり、さらに肥満,動脈硬化や浮腫を誘発する。また、高脂血症や糖尿病のモデルマウスでは、集合リンパ管の著しい機能低下が示されている。

化学と生物 Vol. 60, No. 3, 2022


スティルはリンパ管の重要性に注目していたが、血管に比べてリンパ管の研究は、これまで遅れてきたようだが、近年いろいろなことがわかってきているようなので、さらに重要性が高まってくるのでしょう。

リンパで漏出性が高くなると、末梢組織で脂肪がたまりやすくなり、肥満を誘発するということなので、部分的な肥満にも関係するのでしょう。

 
 
 

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