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パーキンソン病「脳ー腸ーマイクロバイオーム」

パーキンソン病によって影響を受ける脳領域の神経細胞は、いわゆるレビー小体を含む。レビー小体とは、神経の機能を阻害するタンパク質の異常な塊を示す。パーキンソン病は、便秘の初期症状が進行するにつれて腸内で発現し、それが次第に転移していくのか?パーキンソン病は、実のところ脳腸障害なのか?原因の一端はマイクロバイオームにあるのか?

最新の科学的証拠に基づくと、一連の問いに対する答えは、すべて「イエス」だと思われる。


寄り集まってレビー小体を形成するタンパク質ɑシヌクレインは、患者の脳ばかりでなく、腸内の神経細胞にも存在する。事実、腸管神経系の神経細胞には、パーキンソン病の症状が発現する何年も前から変質しているものがある。それによって、腸の小さな脳の精緻な機能が損なわれ、蠕動は遅滞し、結腸を便が通過する時間が遅れるようになるのだ。これに関しては次のような説がある。選択的に神経細胞に感染する向神経性ウイルスを含んだ食物や水を摂取すると、取り込まれたウイルスは徐々に腸壁を通過して腸管神経系に達し、そこから容赦なく、内臓刺激を脳に伝えるスーパーハイウェイ、迷走神経に入り込む。かくしてウイルスは迷走神経を介して脳幹に感染し、さらに動作や気分を司る脳領域に達するのである。


現時点では、そのようなウイルスの存在は確認されていないが、感染を容易にする、あるいは腸内に宿るその種のウイルスの成長を促すような変化が患者のマイクロバイオ―タに見出されている。ヘルシンキ大学のフィリップ・シェペルヤンスらによる最近の研究が示すように、パーキンソン病患者では、健常者と比べてマイクロバイオ―タを構成するプレボテーラ菌の割合が低下しているのだ。次の事実は、おそらく偶然の一致ではないだろう。植物性食物主体の食生活を送っている人の腸内ではプレボテーラ菌が繁殖し、野菜をあまり食べず、肉類やミルクなどの乳製品を主に食べている人の腸内では減少している。とはいえ、腸内微生物の構成の変化がパーキンソン病発症の一因なのか、それとも逆に、微生物の微生物の構成の変化のほうが、パーキンソン病による腸内環境の変化の結果なのかは、まだわかっていない。あるいは、腸内微生物の構成の変化は、遺伝的な脆弱性や環境毒素への暴露などの他の要因と複合した時にのみ、効力を発揮するという可能性も考えられる。パーキンソン病というジグソーパズルを解くには、まだ多くのピースが欠けている。しかし、パーキンソン病が「脳ー腸ーマイクロバイオーム」相関の疾病であることを示唆する科学的根拠は、他の研究でも得られている。


例えば、マイクロバイオームの構成を変える菜食主義は、パーキンソン病発症のリスクを低下させる。また現在では、年齢を重ねると腸内微生物の多様性が低下し、マイクロバイオームが攪乱の影響を受けやすくなることが知られている。もしかすると、パーキンソン病は、通常60歳を過ぎてから発症するのもそのせいかもしれない。


この仮説が正しければ、パーキンソン病に」罹患する高いリスクを抱える人が腸の免疫系を鎮静化するための食餌療法を早くから実践することは、この疾病の発症を防ぐのに、あるいは少なくとも遅らせるのに役立つはずだ。さらにいえば、典型的なアメリカ的食生活をやめれば、多くの人がパーキンソン病に罹患せずに済むかもしれない。


『脳と腸』エムラン・メイヤー P.257

 
 
 

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