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腱板断裂の術後不調は、伊丹オステオパシー

11 分前
読了時間: 4分
腱板の筋と位置
腱板の筋と位置

1. 概念と原因

腱板断裂は、加齢に伴う腱の「変性(もろくなること)」に、繰り返される機械的な刺激や外力が加わることで発生します。

  • 加齢と変性: 20歳代までの若年層では腱の変性は少なく、強力な外力や激しいスポーツ(投球動作など)がない限り、断裂は滅多に起こりません。しかし、50歳代以降は転倒して手をつくような日常的な動作、あるいは軽い捻挫程度でも断裂が生じるようになります。

  • 高齢者の特徴: 高齢者においては、特に明確なきっかけ(外傷)がなく、日常生活の中でほとんど自然に断裂(自然断裂)に至るケースが多く見られます。

  • 好発部位: 特に「棘上筋(きょくじょうきん)」の腱は、肩峰(けんぽう)の下で挟み込まれやすい位置(インピンジメントを起こしやすい場所)にあり、さらに大結節への付着部付近は血流が乏しいため、最も断裂が生じやすい部位とされています。

2. 断裂の分類

断裂は、その「厚み」と「広がり(大きさ)」によって分類されます。

  • 厚みによる分類

    • 全層断裂(完全断裂): 腱の厚み全体が完全に切れてしまっている状態です。自然に治癒(自癒)することはないと考えられています。

    • 部分断裂(不全断裂): 腱の厚みの一部が繋がったまま、部分的に切れている状態です。「関節面断裂」「腱内断裂」「滑液包面断裂」に細分化されます。部分断裂の一部は自然治癒することがあります。

  • 範囲(大きさ)による分類(全層断裂の場合)

    • 断裂の広がり(腱の引きつれの大きさ)に応じて、「小断裂」「中断裂」「大断裂」「広範囲断裂」などに分類されます。

3. 主な症状と所見

  • 疼痛: 肩を動かしたときの痛み(運動時痛)や、夜間に痛みが強くなる「夜間痛」が特徴です。また、断裂部を上から押すと強い痛み(圧痛)を感じます。

  • 運動障害: 腕を上に挙げる筋力や保持する力が低下します(挙上力低下)。

  • 特徴的なサイン

    • ペインフルアーク・サイン(有痛弧徴候): 腕を横から上に挙げていく途中の特定の角度(一般に60°〜120°の間)で強い痛みが生じる現象です。

    • ドロップアーム・サイン(腕落下徴候): 他人の手などで腕を外側に90度持ち上げた状態から、支えを外したり上から軽く指で押し下げたりした際に、腕をその位置で維持できずに脱力してストンと落下してしまう現象です。

4. 検査と診断

  • 徒手検査(インピンジメント徴候)

    • Neer(ニア)の手技: 肩甲骨を押さえながら、内旋位(内側にひねった状態)にした上肢を強制的に前方へ挙上させることで、痛みが誘発されるかを確認します。

    • Hawkins-Kennedy(ホーキンス・ケネディ)の手技: 肩甲骨を押さえながら、前方へ約90度曲げた(屈曲した)上肢を、他動的に内旋させることで痛みを誘発させます。

    • ※これらは、棘上筋腱や肩峰下滑液包が肩峰の下に押しつけられて痛む原理を利用しています。

  • 画像検査

    • 関節造影(アルトログラフィー): 関節腔内に造影剤を注入する検査です。全層断裂がある場合、本来は行き来しないはずの関節腔から「肩峰下滑液包」へと造影剤が漏れ出すため、確定診断に有用です。

    • 超音波検査(エコー): スクリーニング(初期の簡易検査)として非常に有用です。

    • MRI検査: 非侵襲的(体を傷つけない)な検査の中で最も信頼性が高く、T2強調画像という撮影法において、断裂した部分が「高信号(白く明るい映り方)」として描出されます。

5. 治療方針

患者の年齢、活動性(仕事やスポーツの頻度)、断裂の程度によって治療法が選択されます。

  • 保存療法(第一選択)

    • 原則として、まずは3〜6ヶ月以上の保存療法を試みます。

    • 局所の安静を保ち、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を内服して炎症や痛みを抑えます。

    • 夜間痛が強い症例などには、副腎皮質ステロイド薬を関節内や肩峰下滑液包内へ注射することが効果的です。

    • ※ただし、五十肩(凍結肩)と誤認して無理な運動療法を早期に進めると、炎症を悪化させるリスクがあるため注意が必要です。

    • 高齢で活動性の低い患者においては、全層断裂であってもこの保存療法が第一選択となります。

  • 手術療法

    • 60歳以下、労働者、アクティブに活動する患者などの全層断裂や、保存療法を数ヶ月行っても症状が改善しない場合に適応となります。

    • 手術の方法: 多くの場合、引きつれてしまった腱の端(腱断端)を引き出し、上腕骨頭の外側(大結節の近く)にあらかじめ作った溝に埋め込んで縫合する「腱前進術(McLaughlin法など)」が第一選択となります。

    • その他の術式: 断裂が大きすぎて直接の縫合(前進術)が不可能な場合は、周囲の筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、広背筋など)を移動・移行させる術式や、大腿広筋膜や人工材料を用いたパッチ法(補強)が行われます。

    • 高齢者の広範囲変性への対応: 高齢者で腱自体の変性が進みすぎている場合は、根治的な縫合ではなく、痛みの軽減(除痛)を目的に、関節鏡(カメラ)を用いて傷んだ組織を掃除する「デブリドマン」のみを行うケースもあります。

    • 部分(不全)断裂:3~6ヵ月以上の保存療法を行い、症状が改善しなければ手術的に断裂部を切除し健常部で腱縫合を行う。また、除圧を目的に関節鏡視下に前肩峰形成術のみを行うことがある。


 
 
 

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