母乳中の細菌
- itami-osteopathy
- 15 分前
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母乳中には、細菌が含まれており、母親から乳児に栄養と共に腸内細菌となる細菌を受け渡していることは、以前から知っていたが、その細菌がどこから来たものなのかは疑問のままだった。『あなたに体は9割が細菌』という本にその答えが書かれていたので、書き留めておく。
P244
・・・消毒の精度を極限まで上げた採乳技術とDNA解析技術を使って調べたところ、献乳の際に見つかる細菌は、もとから母乳にいた細菌だった。赤ん坊の口や母親の乳首から乗り移って混入したのではなく、乳房組織の中に入り込んでいた。いったいどこから?乳房組織にいる細菌の多くは皮膚によくいる細菌とは違った。つまり、乳房の皮膚から乳汁に侵入したわけではない。乳房組織にいる細菌は、通常は膣や腸にいる乳酸菌だった。母親の糞便を解析すると、腸と母乳にいる細菌は同じだった。これらの微生物は大腸から乳房へと移動したようだ。
血液を調べて移動ルートがわかった。樹状細胞と呼ばれる免疫細胞の中に入って移動していたのだ。樹状細胞は細菌の密入国を手助けすることで知られている。腸を取り囲む厚い免疫組織の中にある樹状細胞は、長い腕(樹状細胞)を伸ばして腸内にどんな細菌がいるかをチェックする。そして通常は、病原体を見つけたらそれを飲みこみ、別の免疫細胞(ナチュラルキラー細胞)の軍団がやってきて退治してくれるのを待つ。ところがなんと、樹状細胞は害のない有益な細菌までつかまえて飲みこみ、血流に乗って乳房に運ぶ。・・・
「The human milk microbiome changes over lactation and is shaped by maternal weight and mode of delivery.」より
・・・しかしながら、最近の分子レベルの研究により、分娩前の数週間に乳腺から分泌される乳汁(したがって乳児との接触を一切受けていない)には、分娩後に採取した新鮮な乳汁から分離された細菌種と類似した細菌種が含まれていることが示されている(35)。樹状細胞は腸管上皮を貫通して腸管腔から共生細菌を取り込み(36)、全身循環に到達し、生きたままの細菌を数日間保持することが報告されている(37)。最近では、樹状細胞内での腸管細菌の乳腺への移行が提唱されている(28, 38)。


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